Weeklyコラム 「人の和」は会社の重要資源

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「天の時は地の利に如(し)かず、地の利は人の和に如(し)かず」(内野熊一郎著『孟子』明治書院発行[新書漢文大系]等を参照)。これは『孟子』にある言葉であるが(「天の時」は天地自然の現象、「地の利」は土地・道路・山河等の状態)、要は何事も人の和(民心の和合)が最も大切ということである。

X社(事務機器の販売業)の社員は大変穏やかで仲が良い。社員がチームを組んで共同で売り込んだり、一緒に訪問して得意な商品別に説明を分担したりする。冠婚葬祭等の交際が重複した時には手分けしたり、苦情処理はお互いの得意技を発揮して助け合ったりして、その迅速な行動が取引先から信頼されている。

ある時、X社の社長に社員の礼儀正しさや協調性を称賛したところ、社長は「実を言うとねえ」と過去の失敗を打ち明けた。「創業から10年間くらいは歩合給で社員同士のライバル心を煽り、朝礼で営業成績を発表した。一時は成果が上がったが、社員の定着が悪く、取引先や同業者からマナーの悪さを非難され、社員同士の喧嘩が絶えなかった」と。

結局、歩合給を廃止して、社員を3~4人のチーム制にして協調性を重視するようにした。今、X社は取引先からも社員モラール(労働意欲)の高い会社という評価を得て、社員の対話も活発である。