注目されていた相続開始直前の個人による不動産取得の相続税評価を巡って、4月19日最高裁は上告を棄却、相続人側の敗訴が確定した。以下判旨抜粋。
「評価通達は、上記の意味における時価の評価方法を定めたものであるが、(略)通達にすぎず、これが国民に対し直接の法的効力を有するというべき根拠は見当たらない。そうすると、(略)財産の価額は、当該財産の取得の時における客観的な交換価値としての時価を上回らない限り、同条に違反するものではなく、このことは、当該価額が評価通達の定める方法により評価した価額を上回るか否かによって左右されないというべきである。」
「課税庁が、特定の者の相続財産の価額についてのみ評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは、(略)合理的な理由がない限り、上記の平等原則に違反するものとして違法というべきである。」
「もっとも、(略)評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、合理的な理由があると認められるから、当該財産の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが上記の平等原則に違反するものではないと解するのが相当である。」
■参考:最高裁判所|相続税の課税価格に算入される不動産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しないとされた事例(令和4年4月19日・第三小法廷・棄却|
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/105/091105_hanrei.pdf