相続税の申告期限内に申告していなかった死亡保険金について審査請求人が修正申告をしたところ、原処分庁が隠蔽に基づくとして重加算税の賦課決定処分をした。
請求人が隠蔽の事実はないとして、処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は3月23日付で、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する賦課要件は充足しないと裁決した。
請求人は、自身が支払いを受けた2口の死亡保険金のいずれもが相続税の課税対象であることを理解しながら、そのうちの1口に関する資料を税理士に交付せず、同保険金を含めない申告書を税理士に作成・提出させた。原処分庁はこれを問題視。
審判所は▽本件保険金を扱う銀行の担当者が請求人と被相続人に対して行った説明から、請求人が相続税の課税対象とならないと誤解した可能性が否定できない。この誤解に基づき本件保険金の存在を税理士に伝えなかった可能性も否定できない▽請求人は調査担当職員による調査初日に本件保険金の入金事績が記録された請求人名義の銀行口座に係る通帳を職員に提示するなど、本件保険金の入金の事実を隠そうとはしていなかったことが認められる。これは誤解があった可能性を高める事実といえる―と認定した。
■参考:国税不服審判所|当初から相続財産を過少に申告することを意図し、外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例(令和3年3月23日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030200.html#a122_3