商店の店頭からマスコミ広告まで、あらゆる場所で販売に伴うおまけ(景品、割引、ポイント等)が溢れている。特に、大手通販会社や健康食品等のCMを見ていると、販売戦略の中心がおまけ商法に思えてくる。
吉田兼好が『徒然草』の中で書いているが、「私はよく物をくれる人と知り合いになりたい」というのは人間共通の心情かもしれない。人が物を買うかどうか決める場合、本来最も重視する事は商品本体の必要性(効用等)と価格のバランスである。しかし、冷静な判断力も商品の数量が倍になったり(おまけがついたり)、価格が割引かれたりすれば、判断力が失われる可能性がある。
よく聞く話に、海外の観光地等で原価10円のみやげ物を1000円で売っているような場合がある。観光客は値引要求するが、販売者側は点数を増やして売ろうとする。例えば1個100円の値引販売よりも(粗利90円)、10個1000円で売る方(粗利900円)がずっと儲かるからだ。
これを悪質商法という人もいる。勿論、おまけ商法が全て悪質というわけではなく、消費量を喚起したり、競争による合理的な購入を促したりする働きもある。今後も新たな工夫が次々に出ると思うが、その場合の長期的信頼は、消費者の実質利益を満足させる手法でなければならない。