30年度の改正で、10年間の時限的措置として設けられた「事業承継税制の特例」では、特例認定贈与承継会社や特例経営承継受贈者に「事業の継続が困難な事由」が生じ、特例認定贈与承継会社が解散等した場合に、解散時の非上場株式等の時価等を相続税評価額とみなした上で贈与税額を再計算できる。
再計算した贈与税額等と過去5年以内の配当等の合計額が「猶予中贈与税額等」を下回っていれば、その差額の納税が免除される仕組み。その際に「債務免除益」が生じるか否かについては、通常の事業承継税制と同様、そもそも国から債務免除が行われたものと認識しないということが報道等により明らかになっている。対象となる事由としては、1)一定期間のうち2期以上で赤字、2)一定期間のうち2期以上で売上が減少、3)有利子負債が売上の6か月分以上、4)類似業種の上場企業の株価が前年を下回る場合、等。
猶予中贈与税額等の一部が「免除」されるのは、承継後の税務リスクを軽減すること等を目的としており、その免除された部分は通常の事業承継税制と同様、債務免除が行われたものとは認識しない。債務免除益として贈与税・所得税は課せられないため、再計算した贈与税額等と過去5年以内の配当等の合計額を納付することになる。