内国法人である上告人が20年3月期と21年3月期の法人税の確定申告をしたところ、刈谷税務署長から租税特別措置法66条の6第1項により、シンガポールに設立した上告人の子会社Aの課税対象留保金額に相当する金額が上告人の各事業年度の所得金額の計算上、益金の額に算入されるなどとして、20年3月期の法人税の再更正処分・過少申告加算税賦課決定処分、21年3月期の同税の再更正処分を受けた。
上告人が被上告人を相手にこれらの処分の取り消しを求める事案で最高裁第三小法廷は、原判決中、上告人の請求をいずれも棄却した主文第1項を破棄するとともに、被上告人の控訴を棄却した。Aの業務実態と66条の6各項の照合が争われた。 名古屋高裁は、Aは事業基準を満たさず、各処分は適法だと判断。
最高裁は▽Aの行っていた地域統括業務は第3項にいう株式の保有に係る事業に含まれない▽地域統括業務が第3項および4項のAの主たる事業であると認めるのが相当―と指摘。上告人はAにつき、適用除外要件をすべて満たし、各事業年度において第1項の適用が除外されるから、事業基準を満たさないことを理由に同項を適用してされた各処分はいずれも違法であり、AはA各事業年度において事業基準を満たすといえると説示した。
■参考:最高裁判所:法人税更正処分取消等請求事件(平成29年10月24日・最高裁判所第三小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87157