平成29年6月2日、民法の一部を改正する法律が交付された。今回の改正は、社会経済情勢の変化に鑑み、消滅時効の期間の統一化等の時効に関する規定の整備、保証人の保護を図るための保証債務に関する規定の整備等を行うものだ。改正により、一般債権については消滅時効が原則5年となった。この改正法は、公布の日から3年以内の政令で定める日に施行されることになっている。
改正に伴い、賃金債権の消滅時効についても見直しの検討が始まっている。労働政策審議会労働条件分科会では、「民法の消滅時効の規定が整理されることに伴い、当該規定の特例である労働基準法第115条の賃金債権等に係る消滅時効についても、その在り方の検討を行う必要がある」としている。同条では、「賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」と規定されており、退職手当以外の賃金債権は消滅時効が2年となっている。
なお、民法の規定では「月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権」の消滅時効は1年とされており、特別法としての労働基準法で2年に延長しているのが現状だ。