原処分庁が審査請求人に対して、滞納者名義の預金口座から請求人名義の預金口座への入金が国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する無償による譲渡に当たるとして納付告知処分をしたのに対し、請求人が同認定に誤りがあるとして原処分の全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は28年5月10日付で、請求人の主張を認め、処分の全部を取り消した。
原処分庁は、滞納者の自宅売却代金の一部が請求人の預金口座に振込入金されたあと、▽滞納者が請求人に対して入金に係る金員の返還を求める意思を示していない▽請求人が入金を自宅のリフォーム費用に充てている―などから、入金は無償譲渡等の処分に該当する旨主張する。審判所は、滞納者が自己の債務弁済に係る事務を請求人に委任していたことで、請求人の預金口座への振込入金は当該委任に係る事務に関連して行われたものというべきだとし、当該入金をもって第39条が規定する無償譲渡等の処分があったということはできないと裁決した。
本事例は争点の判断にあたり、審理の範囲を原処分庁が主張する間接事実の有無のみに絞ることなく、原処分庁が主張していない間接事実を認定し、当該認定事実から課税等要件の充足を否定したものだ。
■参考:国税不服審判所|第二次納税義務の納付告知処分・全部取消し・平成28年5月10日裁決|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/11/0303040000.html#a103