有償新株予約権は費用計上へ 遡及適用はない方向

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上場企業等を中心に導入が進む有償で発行される新株予約権だが、その会計処理の取扱いは今のところ不明だ。現行の実務では、ストック・オプション会計基準を適用する企業が一部にはあるものの、多くの企業では企業会計基準適用指針第17号「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」を適用している。

同適用指針によれば、発行時の払込金額を新株予約権として計上し、権利行使時に権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金又は資本剰余金に計上することになる。費用計上を要しないため、企業の損益に影響は与えないというメリットがあるからだ。

会計基準を開発している企業会計基準委員会では、少ないながらも企業間で会計処理にバラツキがあるため、有償新株予約権の会計処理の明確化の検討に着手。現段階では、これまでの実務を一転し、ストック・オプション会計基準の適用範囲に含め、有償新株予約権の付与日以降の将来の労働サービスの提供に対する対価として費用計上する方針だ。しかし、多くの企業が有償新株予約権について費用計上していないことを考慮し、注記を要件として遡及適用は行わない方向となっている。