ハードルが上がる再雇用制度 企業側不利な判決続く

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改正高年齢者雇用安定法施行に伴い65歳までの雇用延長措置が求められている。定年後に従前と異なる労働条件で再雇用する制度が一般的だ。厚生労働省のホームページでも「高年齢者の安定した雇用を確保するという高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で決めることができます」としており、従前同様の労働条件は求められていない。

しかし、定年後の再雇用にあたり、事務職からパートタイム職で清掃業務への転換を提示されたのは不当かどうかで争われた裁判で、企業側に賠償命令が出された。定年を控えた労働者の能力が基準を満たしていないためパートタイムでの清掃業務を提示され、労働者が拒否したというものだ。

判決では改正高年齢者雇用安定法の趣旨に明らかに反しており違法だとしている。以前も定年後に同様の業務を行っているにも関わらず、賃金を下げるのは不当であるとして争われた裁判で、業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは労働契約法に反するとされている。再雇用制度の運用にはより一層の慎重さが求められている。