事実の仮想とまでは言えない 原処分庁の認定を否定―不服審

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被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の経営者である請求人が、債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産からこれら債権を除外して相続税の申告をしたとして原処分庁が重加算税を賦課したのに対し、請求人が審理を申し立てた事案で国税不服審判所は27年10月1日付で、上記債権の一部は被相続人が実際に債権放棄をした可能性が認められるとして原処分庁の事実認定を否定、重加算税の賦課決定処分を一部取り消す旨裁決した。

争点は、請求人の行為が国税通則法第68条第1項に規定する課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の一部を隠ぺい、又は仮装したことに該当するか否か。原処分庁は、請求人が調査担当職員に行った申述などを基に、請求人の行為は該当する旨主張する。

審判所は、請求人と被相続人の間で請求人が答述するような協議があった可能性を十分に認めることができることを前提にすると、当該各仕訳の一部は、当該借入金の額を減少させるという被相続人の意思に基づき行われた可能性が十分に認められることから、当該各仕訳に係る請求人の行為は計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、故意に脱漏し、あるいは故意にわい曲したものであるとまでは認められないと認定した。

■参考:国税不服審判所|平成23年12月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成27年10月1日裁決|

http://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030200.html#a101