破産手続き開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき、破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権が破産者に属するのか、管財人の破産財団に属するのかが争われた事案で、最高裁第一小法廷は破産財団に属すると判決、原審に続き破産者側の上告を棄却した。これにより破産者側の敗訴が確定した。
最高裁は、こういう場合の死亡保険金請求権は、破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして、破産財団に属すると解するのが相当だとした。破産手続き開始決定を受けたのは、上告人であるY1およびA。両人の長男であるBが全国労働者共済生活協同組合連合会および日本生命保険相互会社との間で生命保険契約をそれぞれ締結していたが、同決定後の24年に死亡。死亡共済金400万円の受取人はY1およびA、死亡保険金2千万円の受取人はY1に指定されていた。最高裁はこうした事実関係を踏まえ、保険金等請求権のうち死亡共済金に係るものは各破産財団にそれぞれ2分の1の割合で属し、死亡保険金に係るものはY1の破産財団に属するといえるとした。
Y1およびAと、破産財団側が死亡保険金請求権をめぐり訴訟合戦を演じていた。
■参考:最高裁判所|債務不存在確認等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件(平成28年4月28日・最高裁判所第一小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85854