報道によると、平成33年に予定される適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入に伴い、事業者間の取引から免税事業者が排除されるとの見方が出ている。現行の請求書等保存方式では免税事業者からの仕入れでも仕入税額控除ができるが、インボイス制度の下では、39年3月末までの経過措置の適用期間を過ぎると、控除の対象となるのはインボイスに記載された消費税額のみとなる。インボイスの発行には発行事業者登録が必要であり、免税事業者は発行できない。免税事業者との取引が控除の対象から外れれば、課税事業者からの仕入れのほうが消費税の税額計算上で有利になるため、事業者間の取引から免税事業者の排除が起こり得るというわけだ。
ただ、簡易課税制度を選択している事業者であれば仕入税額の計算にインボイスは必要ないため、仕入先の免税事業者にとって不利はない。また、取引相手が一般消費者中心の免税事業者には、インボイス導入の影響は限定的とも言える。それでもやはり排除される懸念が強い免税事業者は課税事業者への転換を検討せざるを得ないが、消費税額の計算や納税、インボイス発行の手間などが発生することになる。軽減税率の導入に伴う免税事業者への影響が懸念される。