日本銀行がマイナス金利を導入し、金融機関が保有する日本銀行当座預金のうち、一定の部分に0.1%のマイナス金利が適用されている。これを受け、国債の利回りでもマイナス金利が見受けられている。3月期の決算期末が迫る中、会計上問題が生じているのは退職給付債務の計算における割引率の取扱いだ。
具体的には、国債の利回りを基礎として割引率を決定している場合で、国債の利回りがマイナスとなっているケースにおいて、割引率をマイナスとなった利回りのまま適用するのか、あるいはゼロとして適用するのかという点である。
企業会計基準委員会によると、マイナスの利回りを適用する方が現行の退職給付会計基準に関する過去の検討における趣旨と整合的であるとしつつも、同委員会の見解として公表するには相応の審議が必要であるとしている。また、企業の経理システム上、マイナスの利回りを基礎とする割引率を用いて退職給付債務を計算するように設計されていない可能性があるなどの懸念が聞かれるため、同委員会は、平成28年3月期決算においては、割引率として用いる利回りについて、マイナスとなっている利回りをそのまま適用する方法と、ゼロを下限として適用する方法のいずれを用いても現時点では妨げられないとしている。