最低賃金引上げ額確定 注目される今後の効用

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最低賃金引上げ額確定 注目される今後の効用

もはや風物詩となりつつある最低賃金の引上げだが、多くの中小企業にとってはひとごとではないだろう。過去5年にわたり、「生活保護との乖離解消」という、企業の生産性とはまったく関係のない議論が先行し、結果として大幅な引上げが続いている。

そもそも、生活保護費の額は企業経営とはまったく関係のない話だ。企業の努力でその額を変えることなどできるわけもない。そのため、生活保護費の額を理由にした最低賃金の引上げ議論は、行政の不手際のツケ回しの感が否めないとの声も経営者からはよく聞かれる。

2015年度の最低賃金は全国平均で16円引き上げられて780円となった。最も高いのは東京都で888円、最低は鳥取県や高知県等の677円で、その差は211円(昨年度は205円)となり、地域間格差がより広がる結果となった。また、今年度の引上げにより、懸案となっていた生活保護費との逆転現象は全国で解消されることとなる。 全国平均16円引上げは前年度最低賃金額で見ると約2.1%増。4月から消費税率が3%引上げとなり、物価上昇の兆しも見える状況で、この引上げが政府の狙い通り消費を増やす契機になるか、単に中小企業の経営を圧迫するだけなのか、注目される。