請求人は、金地金の売買に関しては、反復継続して行うものではないため、金地金の売買が営業活動に該当しないとし、よって棚卸資産とは言えないと主張した。
国税不服審判所は、消費税法第36条《納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整》第5項に規定する「棚卸資産」に該当するか否かの判断は、会計処理だけでなく、資産と事業者の属性や事業目的、取得時の使用・収益・処分に関する方針など、客観的な事実に基づいて実質的に行うべきだと述べた。請求人の金地金の売買取引額が事業規模に対して大きく、事業に与える影響が大きいため、金地金の売買は補助的な活動とはいえず、定款に明示的に掲げられた事業目的そのものではないとしても、事業目的から離れて行われているものではないと説示。
また、取得から売却に至る経緯や金地金取得のための借入金返済の必要性などを考慮すると、請求人は金地金を取得した時点で将来的に売却する方針を有していたと認められる。これらの事実に基づき、請求人は事業目的に係る業務の過程において金地金を売却することを目的として保有していたと認定され、本件金地金は消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当すると判断された。
■参考:国税不服審判所|金地金が消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当するとした事例|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/05/0503000000.html#135