破産財団の剰余金の配当所得 管財人に納税義務の主張棄却

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請求人の破産手続開始の決定後に、破産財団に属する株式に関する剰余金の配当により配当所得が生じているとして下された原処分に対し、これは非課税所得であり、仮に課税所得であるとしても破産管財人に源泉徴収義務又は確定申告及び納付義務があるとして、請求人はその取消しを求めた。

▽請求人は、破産管財人が、破産財団に属する株式を売買する場合のみならず、剰余金の配当請求権を行使して支払を受ける場合も、所得税法第9条〈非課税所得〉第1項第10号「資産の譲渡」に該当すると主張。しかしながら、請求人が配当請求権を行使して剰余金の配当を受け取ることにより資産の帰属主体たる地位や所有権が請求人から移転したとは認められず、配当は資産の譲渡に該当しない。

▽請求人は、破産管財人が所得税法第181条〈源泉徴収義務〉第1項に規定する「支払をする者」に該当し、源泉徴収義務を負う旨主張する。しかしながら、各配当は、破産管財人がその地位に基づき行ったものであり、各配当の支払における破産管財人と請求人とは直接の債権債務関係、これに準ずる特に密接な関係にはないから、破産管財人は配当の「支払をする者」に該当せず、源泉徴収義務を負わない。

審判所は以上の判断から、請求には理由がないとして棄却した。

■参考:国税不服審判所|破産財団に属する株式に係る剰余金の配当は、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとした事例(令和5年2月26日裁決)|

https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0102050000.html#a130