財務省のシンクタンク、財務総合政策研究所において、増田幹人駒大経済学部准教授が「ポストコロナの日本における人口動態の変化とその背景―韓国および欧米先進国との比較―」と題して講演した。増田氏によると、日本は2020年4月の新型コロナに関する緊急事態宣言を受けて、その10カ月後の21年1月に出生率が急低下、その後に急激な反動増を経験し、再び低下傾向を示した。
そうした中「男性は働き、女性は家事・育児を担当する」という性別役割分業意識の強弱が出生率に一定程度影響するとして、性別役割分業意識が強い日本では、この意識を弱める抜本的な変革を起こすことが、少子化対策に与える影響が大きいことを示唆しているとした。
コロナ危機は出生率に対して影響していたことが推察され、(1)コロナショック直後に出生率が急低下し反動増後低下傾向が続いた(2)ショック直後に出生率が急低下し反動増を経験したが、その後も高い水準を維持した(3)ショックが生じても出生率はむしろ急上昇した―の3グループに分けられると指摘。日本は(1)に属する。3グループは性別役割分業意識の違いという文化的要因に影響を受けており、この意識が弱ければ出生率の低下度合いが弱く、出生率も高い。
■参考:財務省|ポストコロナの日本における人口動態の変化とその背景―韓国および欧米先進国との比較―|
https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2023/lm20230907.pdf