古代インドには、非常に長い時間単位「劫(こう)」があった。一劫は、四十里四方の立方体の岩石を天人が軽い羽衣で百年に一回払拭し、その岩石が磨滅してなくなるまでの時間である(一劫の定義には、他にもいくつかの説がある。
これに比べれば、人生の長さは実に微々たる一瞬間であろう。人が時間を最も価値あるものと扱う理由である。例えば、電車であれば一般にスピードが高い程(つまり一定距離を走る時間が短い)価値があるとされる。だから、普通列車と特急列車とでは、特急の方が料金は高い。その差は時間
節約代と言える。その他にも、一般道路と高速道路、海外等に行く場合の船舶と飛行機・・・と、例を挙げたら切りが無い。
そもそも、商品サービスのかなり多くが時間を売る(お客が報酬を払って自分の時間を節約出来る)ことで成り立っている。例えば、クリーニング業・家事代行業・宅配業・引越し業・弁当総菜販売業等の発生要因の一つは、報酬と時間の交換にあった。現在も新商品の多くが、お客の時間を節約出来るような分野から生まれている。ビジネスは、いかにお客様の「時間を生み出せる」商品やサービスを提供できるかを競い合っている。逆に既存のサービスがお客様の「時間を奪」っていないか点検が必要だ。