内閣府はこのほど、「令和5年度年次経済財政報告―動き始めた物価と賃金―」を公表した。報告書は、現下の経済情勢と物価のダイナミクスを分析し、デフレ脱却が我が国経済の持続的な成長にとってなぜ重要なのか整理。また、日本企業が収益性を高めていくための鍵はマークアップ率の向上と強調し、全体を3章でまとめている。
第1章は「マクロ経済の動向と課題」として、5月に感染症が5類相当となる中、30年ぶりの賃上げが進むとともに、四半世紀の桎梏である「デフレ」からの脱却を実現・定着させるため、潜在成長率の上昇に軸足を移し、DX・GX等の民間投資の誘発や少子化対策等の中長期的な成長に資する取組が不可欠、とまとめている。
第2章は「家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題」として、家計所得が着実に増加する環境を構築するためには、労働移動の活発化、副業・兼業の拡大や女性・高齢者の活躍促進に加え、資産形成を通じた所得の引上げが重要としている。
第3章は「企業の収益性向上に向けた課題」として、マークアップ率(企業の価格設定力)の向上には、研究開発投資や人への投資などの無形資産投資が鍵となり、生産性向上効果や、対外競争力のある製品の輸出拡大効果も期待できる、とまとめている。
■参考:内閣府|令和5年度年次経済財政報告-動き始めた物価と賃金-|
https://www5.cao.go.jp/keizai3/whitepaper.html