納骨堂経営及び施設変更の許可 一定の地域住民に原告適格あり

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本件は、大阪市長が、宗教法人であるA寺に対し、墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により、納骨堂の経営の許可及びその施設の変更の許可をしたところ、同納骨堂の周辺に居住する被上告人らが上告人を相手に、本件各許可の取消しを求める事案。

細則8条は、許可の申請があった場合、当該申請に係る墓地等の所在地が、学校、病院および人家の敷地か概ね300m以内の場所にあるとき、当該許可を行わないと規定。ただし、当該墓地等の付近の生活環境を著しく損なう恐れがないと認められるときはこの限りではないとする。大阪市長は納骨堂の経営および施設の変更を許可した。

原審は、本件納骨堂から概ね300m以内の人家に居住する被上告人らは許可取消を求める原告適格を有すると判断。第1審の却下部分を取り消し、同部分を差し戻した。所論は原審の判断は法令の解釈適用の誤りおよび判例違反があるとした。

最高裁判所は、同条は許可の要件が個別的利益をも保護する目的とは解し難いとしつつ、都道府県知事の広範な裁量に委ね自主的な処理を図る趣旨にでたものとして、個々の居住者の個別的利益として保護する趣旨を含む規定とは解せる。よって、当該場所に敷地のある人家に居住する者は、取消しを含め原告適格を有するとした。

■参考:最高裁判所|納骨堂経営許可処分取消、納骨堂経営変更許可処分取消請求事件(5月9日・第三小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92062