株式会社が他の株式会社を子会社にするために、当該他の株式会社の株式を譲り受け、その対価として自社の株式を交付する、株式交付制度。株式交換と異なり100%子会社にする手法ではなく、買収会社株式を対価として被買収会社株式を買い取る手法であるため、組織再編税制の対象とはされず、株式交付子会社の株主における株式譲渡損益の繰延べに係る特例のみが導入されていた。今回は、この規定の一部に改正が入り課税強化されることとなった。
改正後は、株式を交付した親会社が、交付後に同族会社(非同族の同族会社を除く)に該当する場合は、非課税の規定の対象から除外される(所得税についても同様)。例えば、株主A(個人もしくは法人)が、S社(株式交付子会社)の株式と引換えにP社(株式交付親会社)からP社の株式の交付を受け、結果としてP社の発行済株式数の50%超を獲得することとなった場合、Pは同族会社に該当することとなる。そうすると、株主Aは譲渡損益の繰延べができず、譲渡課税が発生する。
令和5年10月1日以後に行われる株式交付から適用される。株式交付制度を利用して企業買収やグループ会社の組織再編等を検討している場合には、この改正の影響を受けることも考えられる。
■参考:財務省|令和5年2月3日 所得税法等の一部を改正する法律案|
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/211diet/index.htm