日本でも導入期待の自社株買い ASR取引のネックは会計処理

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企業会計基準委員会は本格的に一括取得型による自社株式取得(ASR)取引の会計処理の検討に着手した。

ASR取引は、日本での取引事例はないが、米国では企業の主要な自社株買いの手法の1つとされているもの。同取引によれば、投資銀行等を介してインサイダー取引に抵触することなく、株価の変動に合わせて自社株を裁量的に買うことができる。大量に買うことも可能でこの場合には株価上昇などにもつながりやすく株主にとってもメリットがあるものだ。

では、なぜ日本では導入されていないのか。その大きな要因の1つは会計上の取扱いが不明確な点である。日本で導入される場合、ASR取引は自己株式立会外買付取引を通じ、企業と証券会社との間で取引が行われることになるが、株価が上昇すれば株式で、逆に下落すれば現金決済をすることになる。このため、資本取引なのか、損益取引となるのかが判然としないのだ。

ASR取引に対する日本企業の潜在ニーズは大きいようだ。仮に会計上の取扱いが決まれば一気に日本でも拡がる可能性がある。ただし、それには会計上、資本取引となることが明確化される必要がある。資本取引となれば、企業の新たな自社株買いの有力な手法となりそうだ。