Weeklyコラム 社員教育の開始と干渉

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X社(住宅建設業)の営業教育プログラムを見る機会を持った。主な内容は、潜在顧客の発見法や見積書作成、工程管理法等であった。顧客との交際や自己啓発等人間徳性の向上教育は、最後に少しあるだけだった。

『和俗童子訓』には、「小児は十歳より内にて、はやくおしえ戒(いま)しむべし。性(うまれつき)悪くとも、能(よく)おしえ習はさば、必ずよくなるべし。いかに美質(びしつ)の人なりとも、悪くもてなさば、必ず悪しきにうつるべし」とある(貝原益軒著『養生訓・和俗童子訓』岩波文庫)。

どこの会社も社員教育の内容と実施方法には迷いがあるようだ。例えば、内容は業務指導に限るべきかそれとも人間徳性の向上策も含むべきか、教育は仕事中に限るべきかそれとも研修会・勉強会も含むべきか。近年中小企業では、人間徳性の向上指導や勤務後の指導は薄れつつある。企業の言い分は、時間や指導能力が難しい事、やり過ぎると社員から干渉していると誤解される恐れがある事(パワハラ等)等。

筆者としては、社員教育は入社時を中心に、業務指導と人間徳性の向上策を早期かつ十分に実施すべきと考える。もし仕事中の業務指導だけを中途半端にしているのであれば、社員の労働能力と労働意欲は何時になっても改善しないように思われる。