年初、何かを新たに学んで習得する計画があるだろうか。計画はあるかもしれない。しかし年末に振り返って、自分は今年新たに習得した知識があったか思案した時、多くの人が後悔の念を抱くのではなかろうか。
実は大抵の人が知識を習得する動機は、偶然出会った出来事や境遇(転職・転勤、恋愛、病気、事故等)に依るのではなかろうか。例えば、筆者は昨年親族の病気について、長時間かかってリハビリや介護制度について現場の実態と知識を学ぶ機会を持った。それまでリハビリとは、ケガや大病した人が手や足腰を訓練して回復を図るくらいの知識しかなかった。ところが専門家だけでも理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3部門あり、医師等と連携してシステム的に行っている事を知った。
中国の古典『中庸』に「他人が一の力でできるとしたら、自分はそれに百倍の力をそそぎ、他人が十の力でできるとしたら、自分は千の力を出す。もしほんとうにそうしたやり方ができたなら、たとい愚かな者でも必ず賢明になり、たとい軟弱な者でも必ずしっかりした強者になるだろう」とある(金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫)。必要な知識は予め立てる計画にも価値があるが、偶然の機会に依るもので習得する場合にも価値がある。知識をぜひ広めたい。