Weeklyコラム 顧客が集まる場所

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店舗の立地調査・診断の際、必ず考える事柄がある。「ここに店舗を設けた時、顧客の気を引き付けるエネルギー(吸引力)が有るか」と。同様に、新商品を開発した時(仕入れた時)は、「顧客が購買したくなるような行動や表情をしているか」を観察する。

何かを観察して情報を得る手法は、人類はすでに古来から知っていた。例えば、農村コンサルタント二宮尊徳(金次郎)の知恵の中にもある。「山芋掘は、山芋の蔓(つる)を見て、芋の善悪(よしあし)を知り、鰻(うなぎ)つりは、泥土の様子を見て、鰻の居る居らざるを知り、良農は草の色を見て、土の肥痩(やせ)を知る、みな同じ」(福住正兄筆記『二宮翁夜話』岩波文庫)。

東京の銀座・新宿・渋谷等に大勢の人が遊びに来るのはなぜか。浅草や京都等の有名観光地に旅費を使って大勢来るのはなぜか。筆者は、「大勢の人々が行く所だから、良い所に違いない。また仲間が行く所だから、自分も行ってみたい」と思うからと答える。観光資源の開発は、最初の資源種を発見して、それに興味を持つ人又はグループを一定数(最初は数人かも)確保する事が出発点だ。商店等の集客エネルギーも同じだ。最初は少数でも、店舗を愛顧してくれる何人かの客を掴む事によって、顧客が集まる場所に発展する可能性が高まる。