間接強制による子の引渡し 認容原決定破棄―最高裁

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抗告人が、夫である相手方に対して両名の長男を抗告人に引き渡すよう命ずる審判を債務名義として、間接強制の方法による子の引き渡しの強制執行の申立てをした事案で最高裁第三小法廷は、原決定を破棄、原々決定に対する抗告を棄却した。

原審は、長男は令和3年4、5月中に2回にわたり、抗告人に引き渡されることを明確に拒絶する意思を表示、この意思は、現在における長男の真意と認めることができるから、長男の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ長男の引き渡しを実現するため合理的に必要と考えられる相手方の行為を具体的に想定することは困難。そうすると、本件審判を債務名義とする間接強制決定により相手方に長男の引き渡しを強制することは過酷な執行として許されない。権利の濫用に当たるとした。

最高裁は、長男が抗告人に引き渡されることを拒絶する意思を表明したことは、直ちに本件申立てに基づいて間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではなく、ほかにこれを妨げる理由となる事情はない。本件審判の確定から約2カ月の間に2回、長男が抗告人に引き渡されることを拒絶する言動をしたにとどまる本件事実関係の下では相手方の行為を具体的に想定することが困難とまではいえない―と説示。

■参考:最高裁判所|子の引渡しを命ずる審判を債務名義とする間接強制の方法による子の引渡しの強制執行の申立てが権利の濫用に当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91563