年々、上がり続ける最低賃金への対応に苦慮している事業主は少なくないだろう。経営側の本音としてはできるだけ人件費を抑えたいところだが、政府の引上げ方針に加え、昨今の物価高もあり、なかなかそうもいかない。
厚生労働省は中央最低賃金審議会「目安制度の在り方に関する全員協議会」を開催、目安審議の在り方、ランク制度の在り方、参考資料の在り方等について議論した。最低賃金は労働者の生計費、類似の労働者の賃金、通常の事業の賃金支払い能力の三要素を総合的に勘案して定めることとされているが、最低賃金の上昇の影響が大きい中小零細企業は労働分配率が80%程度となっており、これ以上の支払余力があるかをもう少し考慮すべきではないか、最低賃金の発効日は10月1日が目安にだが、準備期間をもう少し取れないか、または春闘における賃上げ結果を速やかに波及させる趣旨からむしろ前倒しも検討すべきではないか、コロナ禍で特定業種の雇用に大きな影響が出ている点についても検討するべき、などの意見が交わされた。
労使双方にとって影響の大きい最低賃金の引上げ。議論については今年度内に取りまとめられる予定だが、これまでの流れから来年度も相応の引上げが予想されるところだ。
■参考:厚生労働省|中央最低賃金審議会(目安制度の在り方に関する全員協議会)|
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-tingin_127940.html