財務省広報誌「ファイナンス」10月号コラム「海外経済の潮流」は「中国の不動産市場」を取り上げた。執筆は大臣官房総合政策課の時永和明渉外政策調整係。
急速な経済発展、都市部の人口増加、強い持ち家志向、富裕層による不動産投機の過熱などを背景に、これまで中国で続いてきた住宅価格上昇の影響について分析。足元の不動産市場の低迷は若年齢層の急減少など構造的な問題となっているとの指摘を紹介。対して中国当局は「共同富裕」の方針の下に、社会格差を拡大させるような住宅市場の過熱は望んでいないとみられるものの、低迷する不動産市場を支えていかなければならず、今後も難しい舵取りを迫られるとの見方を示した。
庶民が簡単に手を出せない水準にまで高騰した都市部の住宅価格高騰抑制策として習近平国家主席は、社会格差の是正を目指す「共同富裕」のスローガンを掲げ、不動産融資規制や金融機関の融資総額に対する不動産関連融資の割合の上限を設定する措置を打ち出したほか、各地方政府も様々な過熱抑制策を導入。その結果、足元では新型コロナの感染拡大に伴う封鎖措置などの影響もあって不動産市場の落ち込みが見られる。市場の低迷により「住宅購入者」や「金融機関」「地方政府」に様々な影響が生じている。
■参考:財務省|機関誌「ファイナンス」コラム・海外経済の潮流中国の不動産市場|
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202210/202210h.pdf