社員の礼儀作法(マナー)を嘆く経営者・管理者が大勢いる。社員研修に力を入れている会社であっても、例外ではない。「新入社員研修で真っ先に礼儀作法を指導するが、1回で身に付く者は少ない。今は2日か3日で終了だからしかたない」等と言う。
世の中の社会経済現象の変化が早いから、社員が身に付ける事柄が多種多様になっている。従来からある礼儀作法・接客法・販売技術や生産技術等は当然、通信・労務管理モラル・防災・外国語の修得等と非常に幅広くなっている。筆者が体験で知った事だが、会社の業績傾向と社員の礼儀作法のレベルは、大体一致している。では、レベルの高い会社は、どのようにして成立するのか。
第1に、新入時の研修だけではなく、会社が繰り返し礼儀作法の研修訓練をしている。第2に、OJT(職場訓練)において礼儀作法の指導を実施している。第3に、これが一番大切だが、本人が自己啓発としてレベル向上を意識している。礼儀作法は、知識ではなく実践による啓発が必要だ。古人が語っているように、「他人が一の力でできるとしたら、自分はそれに百倍の力をそそぎ、他人が十の力でできるとしたら、自分は千の力を出す」(出典:『中庸』、金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫)という姿勢が大事である。