賃貸不動産を売却した審査請求人が、賃貸借契約の解約金相当の額について、臨時所得に該当して平均課税が適用され、また所得区分は譲渡所得に該当するとしてそれぞれ更生の請求を行ったのに対し、原処分庁はいずれも理由がない旨の通知処分を行った。
請求人がその全部の取り消しを求めた事案で、審判所は原処分の一部を取り消した。請求人はK社に対し、社員居住専用として共同住宅と駐車場を賃貸していたが、賃貸借契約の解約をK社に申し入れ、敷金相殺後の解約金の額を定める一方で、その同日、P氏との間で上記の不動産の売買契約書を作成。敷金の返還義務及び解約金を受領する地位も、P氏に移転された。
審判所は、売買契約の前に合意解約と解約金の支払いが確定していた本件では、「賃貸人の地位」の交換価値は、不動産そのものの交換価値から独立した「解約金相当額を受領する地位」の価値として客観的に把握できるとした。その上で解約金相当額は「残賃貸借期間の賃料の補償」として支払われ、賃貸人の地位に包含されるものであることから不動産所得に該当すると判断。
一方で、所得税法施行令第8条第3号に規定する補償金にあたるとして、臨時所得に該当し平均課税の適用対象となるため、申告書記載の税額は過大だったと認めた。
■参考:国税不服審判所|不動産売買契約を「土地及び建物」と「賃貸人の地位」2つの財産を契約目的としたとみるのが相当で、売買代金の一部は「賃貸人の地位」の譲渡の対価として不動産所得に該当するとした事例
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0202010000.html#a125