公訴提起時に時効完成済み 業務上横領被告事件―最高裁

LINEで送る
[`yahoo` not found]

B社の経理業務を統括していたCと共謀の上、B社名義の銀行口座預金をCがB社のために業務上預かり保管中、B社事務所で自己の用途に費消する目的で、Cが事情を知らないB社職員に指示して口座からCらが管理する銀行口座に大金を振込入金させて横領した事件の被告人の公訴時効の期間をめぐり第1審判決と原判決が相違した事件で最高裁第一小法廷は、原判決を破棄、控訴を棄却した。被告人には業務上の占有者の身分がない。他人の物の非占有者が業務上占有者と共謀して横領した場合における非占有者に対する公訴時効の期間が争点。

第1審判決は、犯罪行為が終了した平成24年7月5日から起算して公訴提起がされた令和元年5月22日には時効が完成していたとして免訴とした。原判決は公訴時効の期間を7年とし、公訴提起時に時効は完成していないとして第1審判決を破棄、被告人を懲役2年に処した。

最高裁は被告人には刑法65条2項により同法252条1項の横領罪の刑を科することとなるとした第1審判決と原判決の判断は正当だが、公訴時効の期間は、同罪の法定刑である5年以下の懲役について定められた5年(刑訴法250条2項5号)と解するのが相当。公訴提起時に被告人に対する公訴時効は完成していたことになるとした。

■参考:最高裁判所|他人の物の非占有者が業務上占有者と共謀して横領した場合における非占有者に対する公訴時効の期間(令和4年6月9日・第一小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91223