作業者の目に注意書入るか疑問 建材メーカー敗訴判決を破棄

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建物の解体作業等に従事した後に石綿肺、肺がん等の石綿(アスベスト)関連疾患にり患した者またはその承継人である被上告人らが上告人ら(建材メーカー)に対し、り患は上告人らが石綿含有建材を製造販売するにあたり、当該建材が使用される建物の解体作業等に従事する者に対し、建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示すべき義務を負っていたにもかかわらず履行しなかったことなどによると主張。

不法行為に基づく損害賠償を求める事案で、最高裁第二小法廷は、原判決中、被上告人の請求に関する上告人ら敗訴部分を破棄、同部分につき東京高裁に差し戻した。また、原判決中、その余の被上告人らの請求に関する上告人ら敗訴部分も破棄、同部分につき同被上告人らの控訴を棄却し、同被上告人らの原審で拡張した請求も棄却した。

原審は、上告人らは何らかの方法で警告情報を表示すべき義務を負っていたにもかかわらず履行しなかったとし、損害賠償請求を一部認容。最高裁は、警告情報を記載した注意書やその交付を求める文書を建材に添付したとしても、現実には作業従事者に提示される蓋然性が高いとはいえないなどと説示。上告人らが警告情報を表示すべき義務を負っていたとまではいえないとした。

■参考:最高裁判所|建材メーカーが、当該建材から生ずる粉じんで石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示すべき義務を負っていたとはいえないとされた事例(令和4年6月3日・第二小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91202