農地の売買契約が締結され、譲受人の委託に基づき第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された。その場合、当該第三者が当該土地を不法に領得したとして横領罪が成立するかどうかが争われている控訴審で最高裁第二小法廷は原判決を破棄し、高裁に差し戻した。
当該第三者で組合の代表理事を務める被告人は第1審で、要するに、本件土地は自己の出捐で取得したものだから、刑法252条1項の「他人の物」には当たらないと主張したが懲役刑に。
控訴し再度事実誤認を主張したところ、原判決は、横領罪は成立し得ず、第1審判決には横領罪の解釈、適用を誤った点について判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるとし、第1審判決を破棄し無罪に。
最高裁は、農地の所有者たる譲渡人と譲受人との間で農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託に基づき第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された場合において、当該第三者が当該土地を不法に領得したときは当該第三者に刑法252条1項の横領罪が成立するものと解されると説示。更に、被告人は原審でも事実誤認を主張したが、原判決はこれについて判断をしていないとも指摘した。
■参考:最高裁判所| 農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託で第三者名義で農地法所定の許可が取得され、所有権移転登記が経由された場合、当該第三者の横領罪の成否(令和4年4月18日・第二小法廷・破棄差戻)|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91098