2022年の公示地価が発表された(日経新聞3月23日朝刊第二部参照)。不思議な事がある。新聞に発表された地点で判定する限り、鳥取県・島根県・山口県等の最高価格地点が、東京23区の最低価格地点よりも低い事である。
もちろん、公示地価は正当な評価基準により地価が決まる。現状の価格水準が正当であるとして、なぜ地域によってこれほど大きな格差が生じたのであろうか。また、この格差によって経済活動や国民の暮らしはどんな影響を受けているのだろうか。
第一に、大都市(特に東京)への人口集中である。人は人々が集まる所に移動し、同時に物の生産、物流、建設、教育・医療・交通・小売等の各種サービスが盛んになる。結果、家屋・店舗・道路等に使う土地需要が高まって価格も上昇する。
第二に、土地価格の変動と格差は、国民の所得・社会慣習・暮らし方全般に影響を与えている。例えば、地価の低い地方に住む親が所有する土地を相続しても有効活用が難しい。一般に収益性が低い土地は放置される可能性が高く、空き地問題が発生している。人口が集中する場所の店舗は売上には有利だが、地価が高く店舗を持つ事が難しい。安い所は人口が減少して、売上維持が難しい。理想は人口の集中から分散へ、である。