趣味等が良く合う縁又は不思議な縁を「合縁奇縁」と言う。X社(建材卸売業)の取引先Y社(建設業)のA社長は、やや偏った性格の為か、Y社担当者は次々に交代した。例えばどんな見積書を提示しても、その形式や分りにくさ等を繰り返し指摘され、契約は成立するが、通常取引先の2倍以上の時間を要した。
このような中で、B氏がY社担当者になった。筆者は、X社社長の依頼でB氏の相談を受ける事になった。B氏は、「先生、A社長の弱みを知りませんか。私はゴルフやカラオケは苦手です。趣味の遺跡発掘作業では話になりませんからね」と言う。筆者もA社長の状況は知らなかった。ところが偶然、商工団体の会合でA社長の趣味(道楽)が縄文式土器等の収集である事を知った。早速、B氏が商談中の雑談で土器を話題にすると、A社長の対応が急に変わった。以後は、見積書等の商談を簡単に通過承認し、遺跡や土器の話で盛り上がったと言う。
人を説得する武器に、相手の弱み(苦手とするもの)を探す傾向がある。しかし、良い縁を築く為には、逆に相手の強み(得意な事や趣味)を称賛したり、共通の趣味を持ったりする事ではなかろうか。人は自分が強みとする事に関心を持った人に好感を抱き、良い縁(運が良ければ合縁奇縁)が築かれる。