金融庁および銀行協会はこのほど、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を公表した。当該ガイドラインは2つの目的から構成されている。一つは平時・有事における中小企業者と金融機関の対応、また私的整理準備および事業再生計画後のフォローアップに関する債権者・債務者双方の役割の明確化等であり、もう一つは従前より柔軟な取り組みを目指した私的整理手続きの対応である。
特にコロナ禍の返済猶予以降の資金計画等、有事に至る前の予防的取組として、(1)収益力の向上と財務基盤の強化:事業計画を策定しその実行・評価・改善を速やかに実行できる体制を整える(2)適時適切な情報開示等による経営の透明性確保:中小企業者は、経営の状況、損益の状況、財産(資産負債)の状況、事業計画・業績見通し及びその進捗状況等に関して、正確かつ信頼性の高い情報を開示・説明する体制作りに努める、等求められている。
あわせて金融機関は、(1)経営課題の把握・分析等(2)最適なソリューションの提案(3)中小企業者に対する誠実な対応(4)予兆管理等の役割を担うという。いずれにしても両当事者間で、平時より更なる信頼関係を構築し、有事に移行しないよう相互に予防する対応が期待されている。
■参考:金融庁・一般社団法人全国銀行協会|中小企業の事業再生等に関するガイドライン(中小企業の事業再生等に関する研究会)|
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news340304.pdf