Weeklyコラム 農家の事業承継

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企業、特に中小企業の事業承継者不足が増加している。このような状況下、中小企業経営者の平均年齢(約57歳)は年々高くなり、予定引退年齢(約67歳)も高くなっている。

事業承継の方法には、親族内の承継、従業員への承継、合併と買収等がある。以前は親族内の承継が8~9割と圧倒的に多数であったが、近年は4割程に減少している。

ところで、現在でも親族内の承継が多数を占めている職業がある。その代表が農業である。農業は世襲制という言葉が当てはまり、継ぐ立場にある者は一般に後継ぎの相続人である。農業を続けるか否かに関係なく、大抵は家に残る者が承継者となる。農家を継いだ者は、専業農家を除いて地元の役所・学校・会社・商店等に勤務しつつ、休日や朝晩に農作業をする兼業農家が多い。中には、家にいる父母や承継者の配偶者が農作業を行い、承継者は全く従事していない事も珍しくない。

農家の後継者不足が問題になると世襲制の限界が叫ばれる。国や自治体の農業従事者支援策に応じて、脱サラして農業を始める人がいるが、実態は長続きする人が少ない。将来的には、世襲制や個人の新規参入だけを期待するのではなく、農業の企業化(農業法人等)により、大規模農業を進める必要があろう。