民法405条の適用は不適当 遅延金の元本組み入れ―最高裁

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A社株式を保有しているB社の排除を専らの目的で、A社が募集割り当て方式で新株を発行。その結果、B社が保有するA社株式の価値が著しく棄損された。

この措置はA社の代表取締役Yが主導。B社(上告人)がこれについて違法だとして、被上告人ら(A社とY)に対し不法行為に基づき損害賠償金・遅延損害金の連帯支払いを求めて訴訟を提起。併せて被上告人らに対し民法405条に基づき損害賠償債務について遅延損害金を元本に組み入れる旨の意思表示をした。

原審は不法行為が成立するとして、Yに対する民法709条に基づく損害賠償請求、A社に対する会社法350条に基づく損害賠償請求をそれぞれ一部認容したが,損害賠償債務の遅延損害金について民法405条は適用または類推適用されず、元本に組み入れることはできない旨の判断をした。

この上告審で最高裁第三小法廷は原審の判断を是認、上告を棄却した。最高裁は不法行為に基づく損害賠償債務について▽民法405条が規定する貸金債務の履行遅滞により生ずるものとは異なる▽何らの催告を要することなく不法行為の時から遅延損害金が発生すると解されており、遅延損害金の元本への組み入れを認めてまで債権者の保護を図る必要性も乏しい―と説示した。

■参考:最高裁判所|不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金は,民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることはできない|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90853