Weeklyコラム 縁起を担(かつ)ぐ

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令和3年も年の瀬が押し迫り、例年通り新年への抱負を考えてみたい。来年も自己の道に今年以上に励む事も立派な心掛けである。しかし、今年と同じ仕事、同じ交友、同じ読書、同じ趣味、同じ・・等だけに取り組む事が良い縁作りとは限らない。

人の変化と発展は、同じ日常生活の繰り返しのみでは難しく、思わぬ人(その他体験・本・名言・旅行等)の出会いによって構築されて行く。その一つ一つが不思議な縁で起こり(縁起)、その結果の典型が恋愛・結婚・入学・就職・転職等の現象である。縁起、或いは「縁起を担ぐ」等と言うと、迷信家のようなイメージがある。

しかし、実は縁起は物事が始まるきっかけを掴もうとする行動である。例えば、科学者が宗教書を読んだり、文学者が宇宙や経済の書物を読んだりする事等で、新しい発想が生まれたりする。また、職場の同僚だけと付き合っていた人が関係のない会社や団体の人と交際する事も新しい縁起作りである。新たな知識・人脈・経験等は新たな縁を結ぶ事で始まる。

得意な分野に精通する事も大事だが、本当の人間修養は異なる分野と縁を持つ心構え(=縁起を担ぐ)がより重要だ。注意すべきは、無闇に異なる事柄と関係を持つのではなく、自己が持つ柱を補強する事柄と縁を持つ事である。