商店街の商店数が年々減少している。その主な原因は、売上が低迷して採算性が悪い事、及び結果として後を継ぐ者がいなくなる事などである。筆者は、それに加えて商店主から次世代への相続が首尾よく行かないケースが多いからと考える。
承継者である子供が存在する時も大きく分けて二通りある。親子が一緒に働いている場合と別々の仕事に就いている場合である。前者の場合は子供が承継する可能性が高く、他に兄弟がいても相続手続きが比較的容易である事が多い。後者の場合は承継しない可能性が高く、たとえ承継する場合も相続目的であれば兄弟と揉めたりする。
X金物店は店主の長男が高卒後一緒に働いていたが親子の意見が合わず、店主は将来の事業承継と相続を心配していた(長女と次男は会社員で、長男が家業を継ぐのであれば、相続放棄すると言う)。そこで筆者は店主と長男と別々に対話して、意見が合わないとは具体的に何かを確認した。結論として、経営ビジョンが違う事と判明した。店主は現状の事業を続けたいと考え、長男は建築資材関連への進出を希望していた。その後、筆者から3年後の事業承継を前提に中期計画策定(兼事業承継計画)を提案したところ、両者が話し合いをして納得した。お互いが素直に話し合う姿勢が重要だ。