中小企業の賞罰制度や福利厚生を調べる機会を持った。その中で、今も大抵の会社にある制度が「永年勤続表彰」である。
年功序列制は衰退したが、長年勤めた人を表彰する気持ちは残っているようだ。会社の賞罰には多々あるが、大きくは論功行賞(新商品を開発した、大きな発明をした等)、栄転と左遷、懲戒免職・減給処分等もある。広い意義では、賞与(ボーナス)もご褒美である。
X社(運輸業)の永年勤続表彰は、賞状と記念品だけでなく、5年ごとにランクが上がる休暇と賞金(旅行券又は商品券)である。例えば、勤続5年で休暇2日と賞金5万円、20年で休暇5日と賞金20万円、30年で休暇7日と賞金30万円である。X社が永年勤続表彰を重視した動機は、社員の定着率が低い事であった。給与水準は上げられなかった為、各種福利厚生制度を充実させた。健康診断、冠婚葬祭に関連した結婚祝金・出産祝金等、資格取得祝金のレベルを上げた。結果、社員募集と定着率が改善した。
会社の待遇は、給与水準・休暇日数・労働時間等が中心になるが、あまり目立たない福利厚生、賞罰、子育て・介護支援・継続雇用等への関心も年々高まっている。勤め人は単に給料を稼ぐだけではなく、労働意欲を満足させるような思い遣りや安心感を求めている。