監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限については、今後、公認会計士法の改正により見直しが行われることになりそうだ。従来から日本公認会計士協会などから見直しが求められていたものである。
公認会計士法では、監査法人の社員の配偶者が役員等に就任している会社とは監査契約を締結することができないとされている。当該社員が監査を担当しなくても監査法人として監査契約を締結することができないわけだが、実際には監査契約ではなく人事で影響がでている。例えば、夫が被監査会社の役員等に就任している場合には、妻の公認会計士は社員になることができない。このため、女性公認会計士の進出を阻害しているとの指摘がある。
11月22日開催の金融審議会総会では、鈴木俊一金融担当大臣より公認会計士制度の改善に関する事項の検討について諮問が行われている。これを受け、金融庁は11月29日に公認会計士制度部会を開催。論点としては、監査法人社員の配偶関係に基づく業務制限のほか、上場会社監査事務所登録制度の規律付けや実務経験期間の見直しなどが挙がっている。金融庁は、年内にも報告書をとりまとめ、来年の通常国会に公認会計士法の改正案を提出する方針を示している。
■参考:金融庁|第48回金融審議会総会・第36回金融分科会合同会合議事次第|
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/soukai/siryou/2021_1122.html