日本では平均賃金がこの30年ほとんど増加していない。最近、新聞に掲載された「年収が30年横ばい」という見出しに目を奪われた方も少なくないだろう。
年収が増加しないことから副業・兼業を希望する雇用者は増加傾向にある。実際、副業をしている者を本業の所得階層別に見ると、本業の所得が299万円以下の階層で副業者全体の約3分の2を占めているのが実態だ。
株式会社パーソル総合研究所の調査によると、正社員の副業を全面的に容認する企業は23.7%で2018年と比較すると1.6倍となっている。「条件つき容認」も含めると55.0%となった。依然、全面禁止としている企業は45.1%だ。容認理由の第一位は「従業員の収入補填のため」で、ついで「禁止するべきものではないので」、「個人の自由なので」、「働き方改革促進のため」となった。
副業に否定的だった経団連も方針を転換、働き手のエンゲージメント向上のためという理由はつくものの副業・兼業の促進を打ち出している。収入の補填、キャリアアップ、外部知見の活用、エンゲージメント向上など、様々な理由はあるものの、副業・兼業促進の波は収まりそうにない。企業側は副業規程の整備を行い、過重労働などのトラブル回避に務める必要があるだろう。
■参考:パーソル総合研究所|副業に関する調査結果(企業編)を発表、副業を容認している企業は55%。2018年比で3.8ポイント増とさらに容認進む|
https://rc.persol-group.co.jp/news/202108111000.html