厚生労働省は賃金不払残業が疑われる企業への監督指導を行い、令和2年度において割増賃金が支払われたもののうち、一企業で百万円以上となった事案を取りまとめて公表した。
是正を受けた企業は1062で対前年度比549減少。また、一千万円以上の割増賃金を支払った企業は112(同49減)となった。支払われた割増賃金の合計額は約70億円となり、一企業あたり平均658万円、労働者一人あたりで11万円となった。労働基準監督署には「出勤を記録せずに働いている者がいて管理職が黙認している」、「時間外労働を自発学習時間扱いされている」、「労働時間の自己申告が適正に運用されていない」、「退勤処理後に働いている者がいる」などの情報が寄せられる。
それらの情報を元に各企業への立入調査が行われている。その結果、問題ありとされれば企業側に実態調査が求められる。コンプライアンス意識や従業員の権利意識の高まりもあり、企業側の運営に問題があれば労基署へ申告することは当然のことのようになっている。安易な考えで労働時間の管理を行うと、一気に巨額の支払いが発生する事態にもなりかねない。適切な労働時間の管理は労働者のみならず企業も守ることになる。
■参考:厚生労働省|監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)|
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c_r02.html