人は喜んで親や他人(又は本や映像等)から知識・技能を学んで習得する。定型システムとしては学校教育や習い事等があるが、実際の習得手段は多種多様で、人生のあらゆる場面で学んだり教えたりしている。
ところが、学校の勉強や習い事は、一般に辛い行為というイメージがあり、楽しく意欲的に取組む事が難しく思える。反面、他人に物事を教える事に生きがいを感じているが人が大勢いる。学校の勉強に限らず、仕事や趣味等において、お互い一緒に知識・技能を習得する事に向上心を持てるからである。特に教える人は自分が主体となり、仲間から信頼されたり尊敬されたりするからだ。その例を一つ挙げてみたい。
知人が運営するデイサービス施設から、「利用者が楽しめる娯楽として将棋・囲碁・トランプ等の指導が出来る職員を採用したい」という相談があった。筆者は、「利用者の中から教えられる人を探したらどうか」と提案した。すると、すぐに男女2人が見つかり、施設が大変活気づいたという。仕事場においても、質問や悩みに丁寧に対応する上司は部下から信頼される。同僚同士も、教え合う事によって協調性が高まるものである。特に、教える準備している人は、期待に応える必要性から日頃大いに学び、知識・技能の集積が高まるものだ。