令和4年度税制改正の各省要望が取りそろった。財務省は各省全体の要望項目一覧をまとめているが、そのなかで厚労省の「基金拠出型医療法人における負担軽減措置の創設」が目を引く。
同省は平成18年の医療法改正を踏まえ、持分なし医療法人への移行を進めているが、持分なし医療法人への移行の障害のひとつに財産権を放棄することに対する抵抗感がある。 持分なし医療法人には、金銭等の財産を基金として拠出することで資金調達を行う「基金拠出型医療法人」があり、基金拠出型であれば、財産権を放棄することなく持分なし医療法人への移行が可能となる。しかしながら、基金として拠出する際に、その一部が配当所得とみなされ課税され、基金の相続時には相続税等もかかるため、円滑な移行に障害が生じていた。基金拠出型医療法人への移行を促進するため、同省は以下の税制要望を行っている。
○持分の払い戻しが経営に与えるリスクの高い医療法人について、持分あり医療法人が基金拠出型医療法人へ移行した場合には、出資者に対するみなし配当課税を猶予する○基金拠出型医療法人への移行後、相続・贈与発生時の基金にかかる相続税・贈与税はこれを猶予する(いずれも基金が払い戻されるまで)。
■参考:厚生労働省|令和4年度税制改正要望・基金拠出型医療法人における負担軽減措置の創設(所得税、相続税、贈与税、個人住民税)
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000824911.pdf