請求人(不動産の賃貸等を営む同族会社)の代表取締役及び取締役を辞任した元代表者Lに支払われた退職金について、原処分庁は、Lは退職後も引き続き、業務執行の意思決定、金融機関との交渉、資金管理等に携って経営に従事し、
みなし役員に該当していたとして、退職金は法人税法第34条第1項に規定する退職給与に該当しないから損金算入はできないとして法人税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。請求人がその全部の取り消しを求めた事案で、国税不服審判所は、支払われた金額は損金として算入されると裁決した。2年12月15日付。
審判所は、原処分庁が摘示する各事実や各関係者の申述を検討した結果、▽Lが請求人を含む法人グループの経営会議において具体的な指示や決定をしたことや、請求人に係る融資やその交渉、最終的な判断を行っていたことを示す客観的な証拠はない ▽Lは辞任の日以降少なくとも4年4か月の間、請求人から役員給与や従業員給与を受領していないと認められる▽Lの後に代表取締役となったFが、その職務を全く行っていなかったと認めるに足りる証拠はない▽Lは辞任の約5か月前に海外へ住所を移転しており、辞任に至った経緯が不自然ともいえない―と判断した。
■参考:国税不服審判所|請求人が請求人の元代表者に退職金として支払った金員は、当該元代表者に退職の事実があるから、損金の額に算入されるとした事例(2020.12.15)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204070500.html#a121