令和2年度の最低賃金は、コロナ禍の影響もあり、中央最低賃金審議会が「引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当」という異例の判断を行ったため、40県で1~3円の引上げというわずかな引上げに留まった。
全国加重平均で27円、26円と大幅な引上げが続いていた中、1円のみの引上げとなった。新型コロナウイルス感染症拡大がいまだに収束しない状況下、令和3年度の最低賃金の行方に注目が集まっていたが、中央最低賃金審議会は全国平均で28円引上げを目安とした。平成14年度に現在の方式が採用されて以降、最大の引上げ額となった。
加えて、今年度については各都道府県をランク分けして目安を提示するのではなく、全国一律での引上げを提示している。そのため、現状の最低賃金額が低い都道府県では大きなインパクトを与える結果となった。言うまでもなく、賃金の引上げには生産性の向上が不可欠となる。しかし、OECDのデータを見ると、日本の時間あたり労働生産性はOECD加盟37ヵ国中21位、一人あたり労働生産性は26位にとどまっている。賃金の引上げ傾向が続くことが予想される中、いかにして生産性を上げるかを重要な経営課題として検討する必要があるだろう。
■参考:厚生労働省|令和3年度地域別最低賃金額改定の目安について~ 目安はA~Dランク全てにおいて28円 ~|
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19902.html