国税庁は今般、令和2年度の査察の概況を公表した。111件の査察調査に着手、処理件数は113件で、うち告発件数は83件、告発率は73.5%。
同年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額91億円で、うち告発分は69億円。告発した事案1件あたりの脱税額は8,300万円であった。告発件数、脱税額ともに減少傾向にある。重点事案として、1)消費税事案(告発18件):輸出免税制度を悪用し、金地金の国内取引を輸出取引に仮装した例など消費税不正受還付事案が9件、不正受還付額は3億8400万円。2)無申告ほ脱事案(同13件):脱税指南により得た多額の所得に係る税の確定申告を一切していなかった事案、等 3)国際事案(同27件):宝飾品の製造で多額の利益を得ながら、事業実態のない香港法人に対し架空の原価を計上し、同法人の口座に不正資金を送金、留保し法人税を免れていた事案、等。その他、生活保護受給者に宿泊施設を提供する貧困ビジネス事案などを告発した。
令和2年度中に出た有罪判決は86件。暗号資産取引による利益の除外に対する有罪判決、法人税法違反幇助の再犯者に対する実刑判決はともに全国初。告発件数及び脱税額は、法人税が55件で38億円、続いて消費税が18件で20億円となった。
■参考:国税庁|令和2年度査察の概要|
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/sasatsu/r02_sasatsu.pdf